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深視力検査用のメガネ

深視力とは

 大型自動車免許や二種免許の取得、更新の際には、通常の視力検査(遠見視力)以外に深視力検査が行われます。
これは、一般的に言われる視力とは違い、両眼視機能と呼ばれる眼の能力のうち、立体視の検査のことです。
言い換えますと「遠近感をどれだけ正確に見ているか」ということを調べているわけです。
立体感や遠近感を調べるのにはいろいろな検査法がありますが、運転免許のときには「三桿法」という動的な方法による深視力検査が行われています。


(当店設置の深視力計です)

 

深視力計の内部を上から撮影したものです。
メカニズムは簡単です。
3本の棒のうち両端の2本が固定され、その間の1本が前後に移動します。

正面から見るとこうなります。
3本が並んだと感じたときにボタンを押し、そのズレを測定します。自動車免許では、3回の測定のズレの合計が6センチ未満の場合に合格となります。

これを正確に答えられるかどうかということは、下記のようなことによって決まってきます。

1.屈折異常(近視、遠視、乱視)が正確に矯正されているかどうか。

2.両眼視機能の中で最も高次元な機能である「立体視」が良好であるかどうか。

3.検査への慣れ(習熟度)

(さらに詳しい解説はこちらをご覧ください)

深視力用メガネ

 深視力用のメガネというのは、上記の1、2の精密な検査を行った上で、三桿法の検査器で正答を得られるメガネということになります。

 前述のように、「立体視」の検査法にはいろいろな種類がありますが、この三桿法というのは目標が動く動的な検査法のためか、他の静的な立体視検査法と比較して難しいようです。「偏光指標を用いた立体視検査では問題が無くとも、三桿法による測定では問題がある」、という事例もしばしば起こります。
したがって、屈折(近視・遠視・乱視)、調節(老眼を含むピント合わせの力)、眼位(斜位・斜視)、眼球運動(主に輻輳・開散といった眼の内寄せや外寄せの機能など)などを総合的に捉えて検査をする必要があります。単に屈折異常と眼位のズレを矯正すればよいという単純なものではありません。

そして、上記3の「検査への慣れ(習熟度)」というのも重要な要素になってきます。
特に静的な立体視検査では問題が無く、三桿法による測定でのみ問題がある方は、三桿法の検査器による練習と並行して視機能のトレーニングも行うと効果的な場合があります。

また、検査機器への相性の問題というのも少なからずあるようです。
三桿法の検査器には、手動で桿を動かすもの、電動で動かすもの、そして運転免許試験場で使用されるようなボックス式の検査器があります。このボックス式というのが曲者で、この検査器にだけ問題が発生する場合が見受けられます。
単体の三桿法検査器の多くでは、測定距離は2.5メートルになっており、2.5メートル離れた地点から検査器を覗き込みます。対して、運転免許試験場に設置されているボックス式の検査器の場合、同時に静止視力、色覚(信号の色が判断できるかどうか)、深視力が測定できるようになっており、これらをコンパクトに収納するために鏡、プリズム、レンズなどを用いて、光学的に検査距離を確保しています。
この点以外にも、機械の検査窓を覗き見るという行為から、精神的な圧迫感を受けることもありますし、機械近視とも呼ばれる調節緊張の発生、それに伴う輻輳(眼の内寄せ)の喚起、メガネを検査窓に押し当てることによってズレてしまい光学的性能が発揮できない、などの原因が考えられます。

 

当店では、両眼視機能の検査を精密に行い、さらにこの深視力検査のための三桿法の検査器を設置しています。

※ 当店では、眼鏡の作成を前提に両眼視機能検査および深視力検査を行っております。
検査のみのご依頼、あるいは検査データの外部提供はお断りしておりますのでご了承ください。

残念ながら効果が現れず眼鏡作成に至らなかった場合には、¥3000(税込)の検査手数料をいただきますが、
メガネ一式またはレンズ一組をご注文いただきました場合には、
手数料は無料となります。

※ 深視力検査をご希望の方は、前日までにメール、電話等でご一報ください。

●深視力用メガネの実例

当店で、実際に視機能トレーニングやプリズム矯正で深視力検査を改善できた実例です。

事例1

自動車学校入校前の適性検査で深視力不良となった30代後半の男性です。
隣県より片道1時間以上掛けて来店されました。
大型免許用に作られたという眼鏡を持参されましたが、三桿計(深視力計)による深視力検査は行われなかったようです。
Rv=(1.5*Sph-1.75D Cyl-1.00D Ax90)
Lv=(1.5*Sph-2.00D Cyl-1.00D Ax90)
偏光立体視標では2分はクリアできますが、三桿計では中央の桿の動きも全くわからない状態でした。

両眼開放屈折検査による完全矯正値
Rv=(1.5*Sph-1.50D Cyl-1.00D Ax87)
Lv=(1.5*Sph-1.75D Cyl-0.75D Ax96)
眼位は2△基底内方、Worth4灯計では5m、40cmともに正常です。
プッシュアップ法による輻輳近点の測定で、 30〜33cmで右目が一旦外転し、また復帰するのを確認。復帰後の近点は20cmとなりました。
遠見融像幅
分離 6△Base In〜7△Base Out 回復 5△Base In〜5△Base Out
近見融像幅
分離 16△Base In〜14△Base Out 回復 10△Base In〜6△Base Out
輻輳側の融像幅がかなり狭く、右目の不安定な動きもあり、眼球運動に問題があるものと推測いたしました。

上記の完全矯正度数の試験枠を装用のまま、ビジョントレーニングの方法を解説し、その後しばらく練習して頂いた後で、プリズム無し、各眼0.5△、右眼のみ1.0△、各眼1△を基底内方に条件を変えながら深視力の測定を行いました。おぼろげながらに桿の動きがわかるようになり、中でも各眼0.5△の付加で最もよい結果が得られましたので、この度数で処方いたしました。

約一月後、再来店になられましが、とりあえず、深視力の必要の無い 大型特殊免許取得で入校し、
深視力検査がクリアできれば、大型免許に移行するという形で、自動車学校に入校されておりました。
再検査の結果、融像幅は、ほぼモーガンの基準値に相当する値が得られ、
プッシュアップ法(眼の内よせトレーニング)での右目の不安定な動きも解消され、
三桿計の検査では、連続15回のうち14回まで1cm未満の誤差で収まるように改善しておりました。
その後、無事大型免許の取得ができたという報告とお礼のメールをいただき、喜びと共に安堵いたしました。

事例2

60代の男性。奥様のメガネの調製のためにご夫婦で来店されたかたです。
奥様の検査中に、深視力計を興味深そうに眺められていたご主人ですが、
お話をうかがってみると、一応大型免許は取得してはいるものの、 更新のたびに大変苦労しているとのこと。
確かに左眼が外を向いているように見えます。

カバーテストでは、上下ズレを伴う右眼優位の交代性外斜視の様相、
遠見・近見とも、 ワース4灯は左眼抑制でした。
深視力検査をすり抜けて免許を取得できたことすら奇跡のように思える状態です。
しかし、時々視線が両眼視しているようにも見えるのでバゴリーニSGテストをやってみると、
60センチから1メートル付近では、間歇ながら両眼視できているようです。

両眼開放屈折検査での完全矯正値
Rv=(1.5*Sph0.00 Cyl-0.50 Ax100)
Lv=(1.5*Sph-0.50 Cyl-0.25 Ax90)
眼位は5△基底内方 左2.5△基底上方

外斜位、上下斜位の量ともに、さほど大きくもないのに間歇性の斜視となっていますし、
プリズムを完全矯正しても、左眼で見える偏光視標が消えたり薄くなったりするので(左眼抑制)、
両眼視の状態は余りよくないようです。
全く期待していませんでしたが、 三桿計ではあっさりと2cm以内の合格圏内をキープできました。

最終的な処方値
R=Sph0.00 Cyl-0.50 Ax100 2.5△B.in 1.25△B.down
L=Sph-0.50 Cyl-0.25 Ax90 2.5△B.in 1.25△B.up

フレームは玉型サイズ42ミリの丸メガネ、パンテオンに決まりましたので、
結構なプリズム量はありますが、最大フチ厚は3mm程度にスッキリと仕上がりました。

事例3

県内ですが、加賀地方から高速道路と有料道路を乗り継いで、自動車で2時間近く掛けてご来店いただいた50台の男性です。

現在使用中の眼鏡
Rv=(1.5p*Sph+2.50 Cyl-1.75 Ax175)
Lv=(1.5p*Sph+2.00 Cyl-2.00 Ax172) プリズム無し

作ったばかりのようですが、深視力の真ん中の棒の動きすらわからない深刻な状況でした。

両眼開放屈折検査での完全矯正値
Rv=(1.5*Sph+2.25 Cyl-1.75 Ax180)
Lv=(1.5*Sph+2.25 Cyl-2.50 Ax175)
遠見眼位は0.5△基底内方 左0.25△基底下方
近見眼位は正常

わずかな上下の斜位は、目の高さが左右で2mmほど違っているために起こる光学的なもののようで、
試験枠の傾き調整で無くなりました。
眼球運動は正常ですし、輻輳近点も5cmと正常ですので、融像力には問題なくプリズム矯正の必要は無いと判断し、
そのまま深視力計にて検査すると、ほぼ誤差も無く正答が得られました。

処方値
R=Sph+2.25 Cyl-1.75 Ax180
L=Sph+2.25 Cyl-2.50 Ax175 プリスム無し

現在使用中の眼鏡とはわずかな差しかありませんが、
両眼開放屈折検査→調節バランステスト→調節緩解テストという手順をしっかり踏んで余計な調節力の介入を防ぎ、
レンズの光学レイアウトを慎重に行い光学的な斜位を防ぐ だけで、
大きな差となって現れることを実感いたしました。

ご注意
多くの方が両眼視機能を考慮した眼鏡や練習により深視力検査に合格できるようになるのは事実ですが、両眼視機能を改善することができない場合があることもまた事実です。
必ずしもすべての方が深視力検査に合格できることをお約束するものではありません。

 

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