深視力を改善する

 「深視力検査が通らないが、何とかならないだろうか?」というメールをよくいただきます。
 こちら(深視力検査)で解説いたしておりますが、深視力検査に合格できない理由は主に3点考えられます。このうち、両眼視機能が欠如している場合には、精密な立体視が得られずに試験には通りませんが、「両眼視機能自体は備わっているのに、なぜか検査に通らない」という方も数多くいらっしゃるようです。このケースを前提に話を進めたいと思います。
 普段はさほど精密な遠近感を意識して生活することがありませんので、いつの間にか衰えてしまった状態とも言えますが、これはちょっと練習して、過去に獲得した立体視という能力を呼び起こせばかならずや改善すると思われます。

 まず、近視・遠視・乱視といった屈折異常を正確に矯正するメガネ、もしくはコンタクトレンズを装用してください。眼位の異常(斜位)があり、それが原因で両眼視機能の低下を招いているならばプリズム処方も考慮されるべきです。(コンタクトレンズではプリズム矯正はできません)
そして、屈折異常や眼位を正しく矯正した上で行う訓練法を紹介いたします。器具も費用も掛かりません。

1)融像性内寄せ練習(Finger to nose training)
本来、斜視手術後や外斜位で内寄せ不全が起こったときに行う視能訓練のひとつですが、調節と輻輳のバランスを取るのには適したトレーニングです。

  • 腕を伸ばし眼の高さに人差し指を置きます。(鉛筆を使っても構いません)
  • それを注視しながら、ゆっくりと鼻根部に向かって近づけます。
  • 指がぼやけて見えてもそのまま近づけてください。指が2本に見えたら努力して内寄せを起こさせさらに近づけます。
  • 次に、今度は指を少しずつ遠ざけます。その間は両目をしっかりと開けて指を注視しつづけてください。
  • これを数分間繰り返します。

2)眼球運動練習
これも視能訓練のひとつで、目の運動を司る外眼筋の働きを調整するトレーニングです。

  • 腕を伸ばし眼の高さに人差し指を置きます。
  • 今度は近づけるのではなく、360度、あらゆる方向にゆっくりと動かし、その間、指を注視しつづけます。
  • 視界の端まで行ったら、再びゆっくりと中央に戻ります。
  • これも数分間続けます。

以上が基本的なトレーニングです。ただし、直接立体感を鍛えるものではなく、両眼で正しく目標を注視する訓練ですので、これだけでは不十分だと思われます。本来は三桿法による深視力測定器を使い、繰り返し練習するのが実践的で一番よい方法だと思いますが、深視力測定器を設置している病院やメガネ店は少ないので現実的ではありません。
そこで、身の回りにあるもので深視力を向上させる可能性のあるものを探してみました。

*立体図形(stereogram:ステレオグラム)を見る
 視線を平行にしたり交差させたりすることで、両眼で見た像が融像することによって立体画像が浮かび上がってくる絵です。雑誌に付属していたり、インターネットでも多数公開されています。ステレオグラムを作るフリーソフトもあります。(Gimpなど)

*箸を使ってご飯粒をつまむ
 茶碗によそったご飯を一粒一粒、箸でつまみます。漫然とつまむのではなく、狙ったご飯粒を正確につまんでください。ピンセットで豆やビーズ球をつまむなどの応用も考えられます。

*ゲームセンターで遊ぶ
 ゲームセンターは、深視力を鍛えるには格好の場です。テレビ画面を使ったバーチャル3Dではなく、例えば、制限時間内でバスケットボールをリングに入れるゲームや、輪投げを応用したゲームなどが適しています。また、クレーンゲーム、モグラ叩きなどはまさに深視力を試す絶好のゲームです。

*家庭にて
 ゲームセンターではお金が掛かりすぎる、というのであれば、ご家庭で行える方法を考えてみましょう。 昔懐かしい、ビー球やおはじき、お手玉などは深視力を養うよい方法だと思います。
あるいは、お子さんとキャッチボールやバトミントン、卓球などはいかがでしょうか?
可能な限りゆっくりと投げてもらったボールをグラブでキャッチするまで、ラケットがボール(シャトル)を捕らえるまで、最後の最後までしっかりと見つめてください。球速がはやくなると、目で追わずに感覚でやってしまいますので、可能な限りゆっくりと行ってください。
そして昔大流行したフリスビーですが、三桿法に即した練習ができそうです。近づいてくるフリスビーを、真剣白刃取りの要領で、両手のひらで挟み込むようにキャッチする感じです。
普段は仕事ばかりでお子さんと遊ぶ機会の無いお父さんには、父親としての株が上がる一石二鳥の方法ではないでしょうか。(笑)
独身とか、お子さんがいないという方は、職場の昼休みでも使い、同僚の方に協力してもらえれば、お互い日頃の運動不足解消にも役立つと思いますよ。

関連リンク

深視力について
深視力用メガネ

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