メガネの役割

 メガネは、「視力を補正する道具」「視力矯正用具」といわれています。
それはその通りなのですが、私の店では違う説明をすることがあります。特に、遠視と老眼とを混同してしまっているお客様に対してですが、「メガネとは、ピントの合う距離を調整する道具」という説明をします。

どういうことかと説明しますと・・・・
眼にはピントの合う距離(明視できる距離)に限りがあります。
明視できる最も遠い点を「遠点」、近い距離を「近点」といい、その間が明視できる距離です。
そして、「遠点」と「近点」は、それぞれ、眼の屈折状態と「調節力」で決まってきます。
補足しますと、「調節力」を全く働かせない状態でピントの合う位置を「遠点」、「調節力」を最大に働かせたときにピントの合う位置が「近点」です。
このことから眼の屈折の状態を分類すると、

  • 正視・・・遠点が無限遠にあるもの
  • 近視・・・遠点が眼前の有限距離にあるもの
  • 遠視・・・遠点が存在しないもの(無限遠よりさらに遠くは存在しない)
  • 老視・・・近点が目的距離よりも遠くにあるもの

ということになります。遠視の「遠点が存在しない」というのは信じられないかもしれませんが、実際には調節力を働かせて遠点を無限遠に持ってこようとします。年齢と共に調節力は低下するため、遠視度数よりも調節力が少なければ遠点は存在せず、遠見視力は落ちます。

 遠視と老眼とを混同してしまっている方は、遠視のメガネを掛けて「新聞が読めない」とか、老眼鏡を掛けた状態で「テレビが見えない」といった苦情を訴えることが良くあります。
正しい遠視のメガネは、遠点を無限遠に置くことが目的です。調節力が3.0ディオプトリー(以下Dと略す)を下回る45歳くらいになると、近点が目的距離よりも遠ざかることになります。3.0Dの調節力とは、近点を33.3センチにすることができる力です。
ちなみに調節力2Dでは50センチ、1Dでは1メートルになります。
また、正しい老眼鏡は、目的の距離が明視できるように近点を近づけるのが目的です。遠点も近づきますので、遠くが見えなくなるのは当然です。
2Dの調節力を持つ方が、1Dの老眼鏡を掛けると、遠点は1メートル、近点は33.3センチとなります。
調節力が1Dの方が、2Dの老眼鏡を掛けると、遠点は50センチ、近点は同じく33.3センチとなります。
調節力が下がれば下がるほど、遠点と近点は近づき、明視範囲は狭くなるのです。

 近視のメガネは、遠点を無限遠かその近くに置くことが目的になります。
レンズの度数はプラスとマイナス、凸と凹で、正反対ですが、遠視と近視のメガネは、遠点を無限遠に置く目的では共通しています。
近点位置を調整する老眼鏡との決定的な役割の違いです。

 つまり、メガネとは「遠点、近点位置を調整することにより視力を補正する道具」と言い換えられるのです。その違いを理解して、間違っても老眼鏡を掛けたまま遠くを見ようとしないでください。潜伏している遠視がどんどん引っ張り出されて、取り返しのつかないことになりますから。

 

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