凄い器械?
コンピューター視力測定装置
当店では、図のようなシステム検査器を使用しております。
テーブルの上に載っているのがオートレフラクトメーター(左)と、コントローラー(右)です。
最初に主訴をお伺いしたり、カバーテストなどで予備検査をしますが、次に使うのがオートレフラクトメーターとなります。
手元のスイッチを押すと、「ピッ」と言う音と共に、中の視標が動き、瞬時に眼の屈折度数(正確には屈折異常の度数)を測定します。左右数回ずつ測りますと数十秒くらいでしょうか。
これが終わると、
「もうわかったの?凄い器械やね」
と席を立たれたり、
「視力はどれだけあるの?」
などと聞かれるかたも多いのですが、
これはそこまで凄い器械ではありません。
良く、「コンピューター視力測定装置」という表現をされますが、正確には「屈折異常度数測定装置」です。視力を直接測っているのではなく、近視、遠視、乱視という屈折異常の度数を”他覚的”に測定しています。
他覚的屈折検査
オートレフラクトメーター(通称:オートレフ)などによる屈折検査は、「他覚的屈折検査」といいます。
オートレフ以外には、手動の合致式や結像式のレフラクトメーター、レチノスコープを使った検影法がありますが、現在はあまり使われていません。操作法の習得には技術や経験が必要ですし、時間も、被検者(検査を受けるかた)へも負担が掛かりますのでオートレフの普及で廃れていきました。
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レチノスコープは、瞬間ではなく、連続して屈折度数を観察できます。
白内障など、中間透光体の混濁の有無のスクリーニングにも有用ですし、オートレフでは測定エラーとなる場合でも測定できることもあります。 |
オートレフについて
オートレフは、測定データを直接システム検査器に送信したり、内臓プリンターのある機種では、測定データをプリントアウトできます。
これが実際のプリントデータです。 屈折異常の模式図などもプリントできますが、ここでは省略しています。
内容をご紹介しますと、
球面度数の数字に+と−が付いていますが、+だと遠視、−だと近視だとお考えください。
本来は、円柱度数、円柱軸といいますが、ここでは簡便に、それぞれ、乱視度数、乱視軸と記載しています。
(詳しくはこちら)
等値球面値は、円柱度数を球面度数に便宜的に置き換えたものですが、眼鏡作成においては特に意味はありません。
瞳孔間距離は、左右の眼の間隔となります。
オートレフの問題点
オートレフは、現在では、すべての眼科医院、ほぼすべてのメガネ店に設置されているといっても過言ではないくらい普及しています。照準を合わせてボタンを押すだけですから、素人でも扱える簡単な器械で、最新式では、照準も自動追尾で合わせる必要もなくなっています。
ただ、大変便利な器械ではありますが、落とし穴もあります。
良く見ていただきたいのは、上図の青い楕円で示した部分です。
Aでは、1回目は1.00ディオプトリーという乱視が検出されたのに、2回目では検出されなかった。
Bでは、1回目と2回目で、球面度数が1.00ディオプトリーも違い、同時に乱視度は1.50ディオプトリーも違う。
Cでは、乱視の角度が14度も違う。
1.00ディオプトリーという誤差は、かなり大きいものです。通常、メガネレンズは0.25ディオプトリーという単位で作成されますが、1.00ディオプトリーの差異があると、見え方や違和感に大きな影響を及ぼします。乱視の場合は特に大きくなります。
そして、乱視の角度が14度も違うと、矯正効果は約5割低下します。
誤差が発生する理由は幾つかあります。
オートレフは、ボタンを押すと、被検者(検査を受けるかた)の眼から余計な調節(ピント合わせ)を緩解するように視標が働き、同時に瞬間的に屈折度数を測定します。
調節は、近見、明るさ、心理的なものなど様々な機序で起こり、人の目は、絶えず調節が緊張、弛緩を繰り返していますが、その一瞬だけを切り取って測定することになります。球面度数の誤差は、この調節の影響を受けていることが多いと思われます。
頻度は少ないですが、網膜の中心窩に浮腫が発生するある種の疾病では、球面度数は大きく変化」します。
乱視度数、乱視角の誤差は、かなり複雑です。
測定域に、睫毛、長髪のかたの場合は前髪が1本でも入ってくると誤差が起こることがあります。
眼の透光体(角膜、房水、水晶体、硝子体)に、わずかな傷や凹凸、混濁があるだけで光が乱反射を起こし誤差の原因となります。
まばたきによる角膜形状、涙液層の瞬間的な変化や、眼球のわずかな動きによる軸外収差も原因の一つです。
他覚的屈折検査は、各眼のおおまかな屈折状態はわかりますが、完全に信頼できる数値ではありません。場合によってはとんでもない数値が出てきます。
あくまでも、
以降に行われる自覚的屈折検査をスムーズに進行させるための予備的な検査であり、
正確な屈折度数は、検者と被検者が、対話形式で見え方を比較したり、確認しながら、適切な屈折度数を求めていく、自覚的屈折検査により導き出されるます。
オートレフの測定値のみに依存して度数決めをする乱暴な検査が行われているようです。お気をつけください。
自覚的屈折検査に関しては、
「視力検査について」
「乱視の検査」の頁をご覧ください。
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