VDT症候群とメガネ
職場のOA化が進み、VDT症候群といわれる症状を訴える人が多くなっています。
「VDT」とは、Visual Display Terminalの略で、コンピューター等を使用するための表示装置のことですが、VDT症候群とは、パソコンを使うことによって起こるいろいろな心身の不調、いわゆる「不定愁訴」です。
当店でも早くにコンピュータシステムを導入し、顧客管理、レンズの受発注、在庫管理、会計関係など、現在ではコンピュータ無しでは業務に支障をきたすほど重要なものになっています。
特に私など、仕事以外にもパソコンに触れる時間が長く、眼精疲労は身をもって体験しています。
書類や本を見るのに比べ、パソコンのディスプレイは長時間見ていると目に負担がかかります。それ以外にもいろいろな理由があるのですが、それは後で説明するとして、VDT症候群の代表的な症状を挙げてみます。
眼症状・・・疲れ、視力低下、かすみ、物がダブって見える
眼以外の症状・・・肩こり、首痛、手・指のしびれ、腰痛、頭痛、背筋痛
その他・・・精神疲労、疎外感、孤独、依存性、不安、うつ、心身症、自律神経失調症、生理不順、流産、
など、枚挙に暇がありません。
パソコンを使う上で、眼の疲れの2大原因になるのが、調節性の眼精疲労とドライアイです。
パソコンを長時間使っていて、「ぼやける」とか、「だぶって見える」というのは、「調節力」を長時間使うために内眼筋が緊張して痙攣を起こしているからです。また、眼球を動かす筋肉(外眼筋)が疲労します。
近くを見るときは、
輻湊(ふくそう)・・・近くのものを見るためには視線を交錯する必要があるので、目が内側に寄ります。
縮瞳(しゅくどう)・・・瞳孔を小さくして焦点深度を深くすることで、視野域をシャープに見ることが出来ます。
調節(ちょうせつ)・・・近くのものにピントが合うように水晶体が厚くなります。
この3つの運動を近見反応と言いますが、それぞれが上手に連動することで、安定して近くを見ることが出来るのです。そして、このバランスが崩れたときに、ぼやけて見えたり、だぶって見えたりすることになります。
疲労がたまらないように、こまめに休憩を取るのが一番の薬ですが、休憩と言う意味は本当に目を休めることです。
近年の調査では、ドライアイが眼精疲労の大きな原因になると報告されていますが、VDT作業は、ドライアイを引き起こす条件が揃っています。
そのメカニズムを説明しますと・・・・
パソコンに向かうとまばたきが減ります。普通は1分間に20回以上まばたきをするのですが、画面に集中すればするほど瞬きの回数は減ります。まばたきの数が減ると、涙の分泌も減り、また目の表面の露出時間が増え涙が蒸発する量が増えます。空調設備があると部屋の空気が乾燥し、さらに涙の蒸発が多くなる訳です。また、一般的な事務机の上にコンピュータを置くと、ディスプレイは目の高さと同じか上に位置することになります。目を大きく開ける必要があるので、更に露出面積が増えてしまいます。
ディスプレイを見下ろすような低い位置に置くと、まぶたが下がって目の表面の露出面積が減るので、乾燥を防ぐことが出来ますし、視線の移動も小さく済み、頭も自然な前傾姿勢に保持できます。
少々値は張りますが、ディスプレイを落とし込んで収納できる、エルゴノミクスに基づいて設計されたCAD用のパソコンデスクなどを使うと格段に疲れ方が違います。
市販の書類スタンドもいろいろと工夫されていますので、使ってみると良いのではないかと思います。
ドライアイを防ぐには、意識的にまばたきをする・空調の風に直接当たらない・加湿器をおく・ 涙の代わりになる目薬(防腐剤の入っていないもの)を使う・パソコンに向かうときはコンタクトをしない、ドライアイ専用のメガネを掛ける、などが挙げられます。
ドライアイ用のメガネとは、顔とメガネに隙間が空かないようなフードが付いて、中に湿らせたスポンジを取り付ける部品があるものです。格好は悪いのですがなかなか効果は高いようです。
思うようにタイピングできないとか、仕事が退屈だというのも疲れる原因になるようです。
「タッチタイピングできないとダメ」という強迫観念とか、基本にとらわれすぎて窮屈なタイピングを強いられることが精神的な重荷になっていたりします。
タイピングなんて我流で結構!
私自身はタッチタイピングしていますが、指使いは非常に個性的です。(笑)
要はストレスを感じない程度に入力すればよいのです。 私は使ったことはありませんが、音声認識プログラムもかなりの水準になってきているようですし、タイピングに悩むのはもはや過去のことです。
また、眼精疲労のみならず疲労というのは精神的要素が多分に影響しています。好きなことをやっていると時間を忘れて熱中しているのに、好きでもないことをやろうとすると途端に疲れてきますよね?
かくいう私も、趣味でパソコンを弄っている分には疲れませんが、店の経理のために表計算ソフトを開こうものなら途端に疲労に襲われます・・・
目に優しいパソコンの話
冒頭に、パソコンのディスプレイは長時間見ていると目に負担がかかります、
と書きましたが、その詳しい説明です。
ディスプレイ画面は小さな点(ドット)によって構成されており、このドットが高速で点滅を繰り返して画面を書き換えていきます。高速なため人間の眼には気が付きませんが、テレビも同じように点滅しています。この画面を書き換えていく方法には、1行おきに書き換えていって結果的に2回で表示を終える「インターレス」モードと、1回で表示を終える「ノンインターレス」モードとがあります。当然ながらノンインターレスモードのほうが画面のちらつき感は少なく、最近のディスプレイは、ほとんどがノンインターレスに対応しています。
そして、1秒間に画面を書き換える(ドットが点滅する)回数を「リフレッシュレート」(「垂直同期周波数」)といいます。
通常のCRTディスプレイは、1秒間に60〜100回程度画面を書き換えています。(60Hz〜100Hz)
これはノンインターレスモードの場合で、インターレスモードの場合は1行おきに書き換えを行なうため、垂直同期周波数の半分がリフレッシュレートになります。
個人差はありますが、一般的に60Hz以下になると点滅を自覚できます。インターレースモードで画面がちらつきやすいのはそのためです。
試しにWindowsをセーフモードで立ち上げてみてください。 じっと画面を見ていると目がチカチカしますが、これは低いリフレッシュレートで表示しているためです。
長時間使用するためには、「フリッカーフリー」と呼ばれる、なるべく高いリフレッシュレートが必要です。 最近のパソコンなら、4MB以上のVRAMが装備されていますから、1024×768ドットで1677万色表示、フリッカーフリーを実現することは可能です。もし古いパソコンでメモリ(VRAM)が足りない場合は、画面の解像度、色数を下げてでもリフレッシュレートを上げてください。(1677万色と6万5536色の違いは普通の人の目には分からないはずです)
ただし、ディスプレイの性能を無視してまでリフレッシュレートを上げると壊れてしまうことがあります!
取扱説明書にかかれている垂直同期周波数の範囲内で、なるべく高い数値を選んでください。
Windowsの場合は、画面のプロパティーの設定→詳細から、いろいろと設定を変えられますので試してみてください。残念ながらマッキントッシュの設定方法はわかりません。
「眼」に関して言えば、ディスプレイとビデオカードには良い物を使ってもらいたいものです。
特に、子供さんとか妊婦さんが使われる場合は、画面から離れても良く見える、明るく大きなトリニトロン管CRTに電磁波・紫外線フィルターを付ける、もしくは流行の大画面TFT液晶ディスプレイが良いかと思います。
(このコラムを書いた当時は、ディスプレイはブラウン管が主流でしたが、現在は液晶画面が主流になっています。液晶画面の場合はリフレッシュレートは関係ありません。)
VDT作業用メガネ
合っていない眼鏡、コンタクトレンズも疲れる原因になります。
一般的にコンタクトレンズはVDT作業に不向きだと言われていますが、パソコンに適した眼鏡を作るのはそんなに難しい話ではありません。
第2回のコラムで説明いたしましたように、メガネは遠点・近点の位置を調整する道具ですから、正確に測定した対象物までの距離が明視できるように、使用される方の残存調節力を考慮した上で、必要ならば眼位(斜位/斜視)の矯正も行って、装用テストを繰り返しながら度数を決定するだけです。
ただし、一般的には、その度数では遠くを見るのは不自由になることもあり、また一般的な老眼鏡に比べて遠くにピントが合うので老眼鏡としてもやや使いにくくなることもあります。もし、OA用の特殊フィルター機能を持ったレンズを使用する場合、色が付いていて暗く感じるため、パソコン以外の用途には余り使えません。パソコンに触れる時間が長くて、どうしても眼精疲労が辛いようならば、試してみる価値はあるかと思います。
その場合は、あらかじめ、対象物(ディスプレイやキーボード)までの距離、そして眼からの角度をなるべく正確に測定しておいてください。
最近、各レンズメーカーから、近近レンズ、デスクワーク用レンズという名称で、パソコンの使用等に適したレンズ設計という謳い文句のレンズが発売されています。レンズ上部の度数を弱くして明視範囲(奥行き)を広げた設計になっており、レンズ上部でパソコン画面、レンズ下部でキーボードや原稿等を見る場合に適した度数分布となっていますが、視線を横に振ると揺れが発生する場合がありますので、必ずしもすべての方に快適とは限りません。購入の際は、レンズサンプルをお試しになりお決めください。
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