調節力の低下は10代から?

 とあるレンズメーカーが、有名ポータルサイトでWEB広告を展開しているのが目に留まりました。
その中で、「調節力低下は、10代から始まり・・・」というフレーズが使われていました。

似たようなフレーズは、メガネ店や眼科のHPの老眼の解説などで使われていますが、
本当に調節力の低下が始まるのは10歳や10代なのでしょうか?

左:眼鏡光学ハンドブック(金原出版)
右・視能矯正 −理論と実際ー(金原出版)

眼鏡技術者向け、眼科向けを問わず、
年齢と調節力の相関関係を表したグラフは、定番といって良いほど採用されています。

このグラフは、 日本では石原忍先生、外国ではドンデルス氏やデュアン氏など著名な先生方が調査研究したデータを基に作られているのですが、実は、それらの報告には、10歳未満の調節力の調査がほとんど無いため、グラフは、横軸のスタートが10歳からとなっているものがほとんどです。そのために「調節力の低下は10歳頃から」「調節力の低下は10代から」との誤解が生まれているのだろうと思います。

水晶体の生理からして、調節力は10歳頃までは横ばいで、10歳を越えてから急激に低下してくるというのは不自然です。
学術書でも、生後間もない子供の調節力は20D前後という報告も散見されますし、また、調節近点が5cmという報告もあるようです。若干の遠視を加味すると、調節近点5cmの場合は調節力は20Dプラスアルファと逆算できますので、両者は符合します。
すなわち、「調節力の低下は生後間もなく始まる」というのが正しいといえます。

 間違えて記憶していたとしても、実際は特に実害も無いような些細なことですが、日本を代表する眼鏡レンズメーカーが、こんな間違った情報を配信しているのは看過できませんし、メーカーとしても恥なのではないかと思いましたので、電話口にて懇切丁寧に(笑)説明して差し上げたのですが、2週間経った今でも改善されていないようです。

 

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