球面レンズ/非球面レンズ

球面レンズ(球面設計のレンズ)とは、表面のカーブが球の一部を切り取った形をしているレンズ、
非球面レンズはそうでない形のレンズです。

一般的な凸レンズ・凹レンズと呼ばれるレンズは、球面レンズです。
遠視・近視用には、長い間これら球面レンズだけが使われてきました。
しかし、近年フレームが大型化し、大口径のレンズが要求されるようになると、
それを補うためカーブの浅いレンズ設計が求められるようになりました。
球面設計のまま浅いカーブでレンズを作ると、収差の発生が多くなるため、
これを補正する非球面レンズが登場しました。

*収差
理論上はレンズの焦点は1点ですが、現実には厚みのあるレンズではそうは行きません。
たとえば、凸レンズを太陽光に当てると光は1点に集まるとされますが、
虫眼鏡で実験してみると分かるとおり、実際には点にはならず、ある面積を持った円になります。
これが、レンズの「収差」です。
収差については1956年、ザイデルによって明らかにされ、「ザイデルの5収差」として定義されました。
「球面収差」、「非点収差」、「コマ収差」、「湾曲収差」、「歪曲収差」があります。
詳しい説明は省きますが、要するに光が1点に集まらなかったり、像が広がったり歪んだりする現象です。

非球面レンズは、カーブの浅い球面レンズの弱点(特に非点収差・湾曲収差)を補正するため、
レンズ面がさまざまな曲率半径(球面の曲がり具合)の組み合わせで設計されています。
これにより、レンズ周辺部の収差を少なくすることができるため、
浅いカーブ設計のレンズでもより自然な視界を得ることができます。

また、レンズカーブが浅いため、レンズ全体が薄く仕上がり、見た目にもスリムになる効果があります。
この効果は、特にプラス度数(遠視用レンズ)でハッキリと出ます。

厚さの比較

尚、近年では、非球面設計レンズが各メーカーより多数発売され、
価格も下がってきたことから主流になりつつありますが、
非球面レンズは必ずしも球面レンズより高性能であるとは限りません
強度のマイナス度数(近視用レンズ)では、収差の抑制に有利と言われているカーブで
球面レンズを作ると厚くなってしまい商品価値が下がってしまうために、
浅いカーブで作らざるを得ませんが、
その際に発生する収差を少なくするために非球面でカーブを形成するのです。
したがって、理想的と言われるカーブ(に近い)を持った球面レンズに対しては、
非球面レンズは必ずしも高性能とは言い切れないのです。

また、別の観点からの比較になりますが、
現在流通しているフレームの多くは、
マイナス度数の非球面レンズの浅いカーブに対応しているとは言えません。
(マイナス度数の非球面に完全に対応してしまうと、逆にプラス度数や球面レンズに対応しません。1つのリムカーブで両対応とするには無理があります)
フレームとのマッチングを考慮すると、球面レンズを選択するほうが良い場合も
多々あるのです。
逆に、強いプラス度数の場合では、球面レンズではカーブが深くなり過ぎることがあり、
非球面の浅いカーブの方がフレームにマッチングし易くなることもあります。

球面・非球面

これは、収差とパワーエラーの違いを現した図です。
実際に眼鏡として眼前に装用する場合の状態を表すわけではありませんのでご注意ください。
パワーエラーというのは、レンズの光学中心から外れた位置では
レンズ度数に誤差が出る現象のことです。
マイナス度数では、
球面レンズはよりマイナス寄りに(度数が強くなる)
非球面レンズはプラス寄りに(度数が弱くなる)
プラス度数では、
球面レンズはよりプラス寄りに(度数が強くなる)
非球面レンズはマイナス寄りに(度数が弱くなる)
なることが多いようです。
従って、球面レンズから非球面レンズへ、またはその逆に使用レンズを換える場合には、
違和感を感じる場合がありますので注意が必要です。

このほか、老視用レンズの中の「累進多焦点レンズ(プログレッシブレンズ)」も非球面設計のレンズの一種といえます。

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